歯科衛生士による麻酔の実施について

痛みを抑えた親知らず抜歯

「親知らずは抜くべき」は必ずしも正しいとは限りません

親知らずの抜歯

親知らずを抜く必要があるのは、本質的に「その人の口腔環境に悪影響を及ぼしている時」もしくは「後々悪影響を及ぼす生え方をしている時」です。つまり、悪影響を与えていない(もしくは与えないであろう)親知らずについては、残しておいた方が将来的には良いと言えます。よって、抜く抜かないの判断については、信頼できる歯医者さんを訪ねていただき、今ある親知らずの状態を見極めてもらうことが大切です。当院にお越しいただければ、適切に診察させていただきます。

【親知らずを残しておきたい理由】親知らずの再利用(移植)

親知らずの再利用

残せるのであれば、残しておいた方が良いのは、親知らずが再利用(移植)できる場合があるためです。次のような例が考えられます。

  • 虫歯で他の歯を抜歯した時、抜いた部分に親知らずを移植し咬み合わせを復活させる
  • 親知らずの手前の歯を抜いた時に、親知らずを歯列矯正のみで手前に移動させる
  • 親知らずの手前の歯を抜いた時に、親知らずを利用してブリッジ治療をし、抜歯箇所含め3つの歯で綺麗に整える

このような例が考えられますので、「口腔環境に悪影響を及ぼしていない親知らず」については、再利用のために温存しておくことの方が賢い選択になります。インプラントや入れ歯よりも生体親和性の高い自分の歯ですので、わざわざ主体的に取り払う必要はありません。

親知らずの移植には条件もあります

全ての親知らずをご希望の部位に移植できるとは限りません。親知らずの根っこの形状や大きさ、移植先の部位などを総合的に判断して、移植できる際には親知らずの利用を積極的にご提案させていただきます。まずはご来院いただき、親知らずの診察をお受けください。

移植できる親知らずの条件

このような時は、親知らずの抜歯が適切です

親知らずの抜歯

①親知らずが歯茎から少しだけ顔を出し、それ以上成長が見込めない時

親知らずが横や斜めに生えている場合、歯茎から少しだけ顔を出しているような状態になっていることが多くなります。このような場合、日々の歯磨きでも手入れが行き届きにくく、放置すると歯周病や虫歯リスクが高まります。よって、早期の抜歯が適切です。

②親知らずが手前の歯を強く押して、歯並びに悪い影響が考えられる時

親知らずが横や斜めに生えていると、歯並びへの影響も懸念されます。特に手前の歯を強く押している場合には、将来的な歯並びに悪影響が出やすくなりますので、痛みの有無に関わらず、抜歯しておくのが適切です。

③親知らず周辺に膿のかたまりのような嚢胞(のうほう)がある時

レントゲン写真で、親知らず周辺に袋状の影が見えることがあります。これは嚢胞と言われる膿のかたまりのようなものですが、放置していると親知らずの動き次第で周辺部位に悪影響を及ぼすことが懸念されます。このような場合には、抜歯しておくほうが良いでしょう。

④噛み合わせが悪いため、歯茎・頬の粘膜の傷影響が考えられる時

親知らずが噛み合っていない場合、成長に伴い歯茎や頬の粘膜を傷つけてしまうことが考えられます。また顎関節症につながるリスクもありますので、このような場合は親知らずを抜歯してしまう方が良いと言えます。

⑤親知らずが重度の虫歯になってしまっている時

親知らずの生え方次第では、ブラッシングが行き届きにくく、親知らずそのものが虫歯になってしまうケースも少なくありません。このような場合は根管治療をして温存せずとも、抜歯してしまうことも選択肢に加えて良いでしょう。

親知らずを「抜く時の痛み」と「抜いた後の痛み」

親知らずを抜く時の痛み

親知らずの抜歯については、「抜く時の痛み」と「抜いた後の痛み」に分けてお考えください。まず「抜く時の痛み」については、他の歯と同様に麻酔をした後の抜歯になりますので、抜く行為自体で痛みを強く感じることはほとんどありません。「抜いた後の痛み」については、麻酔が切れるタイミングで痛みを生じることが考えられます。抜いた後の穴がうまくかさぶたのようにならなければ、骨の露出と関係して強い痛みとなる場合もありますが、そのような場合にもその穴を補うような治療もいたしますのでご安心ください。

抜歯に要する時間が長いほど、抜いた後に痛みやすい?

抜歯後の痛み親知らずの生え方によっては、抜歯の難易度が高くなり、抜くまでに相応の時間を要します。抜歯を終えるまでに時間がかかった場合は、その部分の穴が大きいことが想定されますので、麻酔が切れたタイミングで痛みが発生する確率も高まります。

当院では事前にCTやレントゲンなどを使用し、歯科医師が抜歯シミュレーションを行なった後で、最も身体的影響を抑えた治療(低侵襲治療)を目指しますので、どうぞご安心ください。

ドライソケットと呼ばれる痛み

ドライソケット親知らず抜歯後には穴ができ、そこに血が溜まります。この血のかたまりは、かさぶたのようにその穴に蓋をします。ドライソケットとは、この血のかさぶたが剥がれ、顎の骨の露出で強い痛みを生じる現象です。放置すると痛みも長引きますので、抜歯後にはうがいをしない、食事の仕方など注意をお守りください。

なお、ご希望の場合、抜歯後の穴部分に人工コラーゲンを重鎮し、ドライソケットを防止する方法もございます。ご不安の場合はご相談ください。

親知らずと顔の輪郭(小顔)の関係は?

親知らずの抜歯で小顔

女性の方から良く「親知らずを抜くと小顔になれますか?」と尋ねられることがあります。こちらについては、「理論的には少し小顔になりますが、見た目で明らかにわかるほどの変化は期待できません」と答えるようにしています。下顎の親知らずはいわゆるエラ周辺に存在しているため、抜くことで骨が吸収され、エラ部分は少し薄くなります。

とは言え、親知らずを抜いた後に明らかに小顔化するといった変化までは期待できないのが実情です。よって、小顔のために親知らずを抜くというのはお控えいただいた方が良いと言えます。

印西市で親知らずの抜歯や診察をご希望の場合、当院へお越しください

親知らずの診療、抜歯をご希望の方

「親知らずは抜くべき」という考え方がまだまだ一般的ですが、ご説明させていただいた通り、抜くか抜かないかはその人の親知らずとお口の環境次第と言えます。レントゲン写真なども組み合わせながら、精度の高い診断をさせていただきますので、親知らずでご不安をお持ちの場合、お気軽に当院をお訪ねください。